2011年4月20日水曜日

印刷通販はなぜ安いか

世の中には「印刷通販」と呼ばれる印刷会社さんがあります。

インターネットで全国から同じ仕様の印刷物の注文を集めてきて付け合せ印刷することで激安価格を実現しています。
例えば、A4のチラシであれば、A1サイズの紙に8丁つけることが出来ます。紙の種類が同じで発注数量も似たようなものを8つ集めてきて付け合せて刷れば1回の印刷で8つの仕事を行うことができます。

「付け合せ」が低価格を実現している大きな要因のひとつではありますが、16ページや32ページといったものも低コストでされているとこともあります。多ページものになると付け合せができないので同じ仕事を集めてきてもそれほどコストダウンメリットは無いはずです。
では印刷通販が「付け合せ」 以外でどうやって激安価格を実現しているのでしょうか?

それは営業コストの削減。

通常の印刷会社の場合、営業マンはお客様から仕様を聞いて見積りを作成して持参し、原稿を受け取って、デザイナーさんに制作依頼して、カンプをお客様に持参してチェックしてもらい、修正原稿を受け取ってまた修正依頼して、色校正出力して持参して、、、というように営業マンが何度もお客様の元へ足を運んで打ち合わせすることが一般的です。印刷する前の段階で多大な労力がかかっています。

当然、お客様から頂戴する印刷料金でこの営業マンの人件費も賄わなければなりません。

印刷物の料金に占める営業マンの人件費はどの程度でしょうか。
少々古いデータですが、平成17年のデータによると、オフセット印刷業の売上高対販管費率は約40%。
販管費に占める営業マンの人件費を40%とすると、0.4*0.4=0.16となり、印刷物に占める営業マンのコストは15%以上あることになります。

印刷通販では、「このまま印刷できますよ」という状態の「完全データ」がお客様からウェブを通じて入稿され、そのまま刷版→印刷されて納品されます。
見積りはウェブサイトで自動で計算され、原稿を取りにお客様のところまでゆく必要もないので営業マンが要りません。(実際には印刷通販さんには営業マンがいらっしゃって特殊なお仕事や大口のお仕事は営業マンさんが動いておられます)

これまで印刷会社の営業マンが行っていた原稿作成にかかる業務を、お客さんの負担にしてしまうことで15%はコストダウンが実現できるということになります。

では、明日から普通の印刷会社が営業マンをクビにしてしまうとどうなるかといえば、その印刷会社は受注が無くなって倒産するに決まってます。

印刷通販と、既存の印刷会社ではビジネスモデルが異なるのです。

既存の印刷会社にとっては「印刷通販」という業態が確立されたことは好都合といえると思います。自身で原稿を作成して印刷通販に頼むお客様は低コストを享受し、原稿作成段階から印刷会社に任せてしまいたいお客様であれば高サービスを享受できます。その差が目に見える形になったのが現状だと思います。

当然、既存のお仕事のいくらかは印刷通販に流れてしまうかもしれませんが、その分安値受注で営業経費も出ないような仕事から営業マンは解放されるわけです。空いた時間で、お客様から活動の対価をいただけるような動きをすれば「増収」になります。

既存の印刷会社は印刷通販と価格競争するのではなく、お客様が求めるサービスレベルを維持しつつその対価をきちっと受け取ることで生き残りの道が生まれるのだと思います。
「営業経費を乗せるのをお客様に認めてもらうことなんてこのご時世、無理。」と思うのであれば、それはその営業マンが提供するサービスに対してお客様は価値を感じていないということになります。

今後数年は、営業マンの動きで印刷会社の存亡が決まると僕は思ってます。
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パッケージ印刷・紙箱製造 トキワ印刷

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